特集コラム Vol.5

Column Vol.5

「安全操業」のレベルアップを目指して
~全社危険源撲滅活動の展開~

「安全操業」を絶対の基本として掲げる東洋合成工業では、2019年より「全社危険源撲滅活動」を推進しています。

2020年度は千葉工場で「危険源評価表の導入トライアル活動」を実施、着実な成果へとつなげています。

千葉工場における危険源撲滅活動

部署を越えて安全への思いを分かち合い実践へとつなげる仕組みづくり

本社 環境安全部 担当課長
堤 清彦
近年、お客様からの当社に対する「多品種少量生産」「短納期」のニーズはますます高まっています。この要望を叶えるためには、開発から実機生産までの時間を短縮しなければならず、開発部門と生産部門のより一層の連携が不可欠となります。

当社のものづくりを料理に例えると、開発部門がレシピ(処方)を作り、生産部門が実際の調理を行います。レシピの段階で材料や器具に問題がないと考えていても、実際の調理段階で予期せぬ危険が発生することはあり得ます。従来、千葉工場ではどちらかというと開発のウェイトが高く、製造段階でトラブルが発生した場合には現場で対応しなければならないという課題がありました。これは両部門で価値観や評価の仕方が異なることが原因だと考え、双方があらゆる観点を持ち寄って危険源を評価できるような仕組みの構築を目指して、「危険源評価表」の導入トライアル活動を2019 年より開始しました。

この活動では、具体的な品目の処方を取り上げて、製造前に調査が必要な箇所を洗い出し、実際に現場で測定・評価を行いました。その結果を危険源評価表にまとめてレビューし、さらに評価・協議を重ねて、2020 年2月の補助生産を実施。その結果を受けて評価表をバージョンアップし、実際の運用方法を検討したうえで、2021年4月より試験運用を開始しています。リスクの洗い出しにあたっては、開発部門は「処方から逸脱したらどうなるか」、生産部門は「設備の基準から逸脱したとしても安全が守れるか」という観点でチェックし、多角的な視点でマッチングさせていく方法をとっています。

この活動を通じて、開発・生産の双方から「評価表でチェックポイントがあらかじめ確認できて良い」「全体像が明確になり、安心して生産に臨める」「やって良かった」といった好意的な声が寄せられています。これまで以上に全体像を体系的に見る観点が養われるとともに、部署間の連携やコミュニケーションが深まるきっかけになったと感じます。今後、ケーススタディを増やして他の品目へ応用を目指すとともに、この活動をベースに当社の技術安全設計基準の醸成を図ることができればと考えています。

危険源評価表は、安全に対するリテラシー向上・意識改革の手段の一つです。なぜ安全の取り組みを実施しなければならないかを理解し、主体となる部署を明確にするとともに、一人ひとりが自主的に実践できる体制を構築できるよう、今後も活動を継続していきます。

From Member

感光材研究所 感光材研究開発部
今川 直道
開発のプロセスでは、実験室レベルで検討を行って製造処方を作成し、顧客にサンプルを提供しながら製造処方をブラッシュアップして実機での製造へとスケールアップしていきます。今回の活動において、当初は開発の視点で危険源の洗い出しを行いましたが、サンプル製造までは問題なくても実際の生産ではトラブルがあるかもしれないという事象が見つかり、生産の視点で安全について考えるきっかけとなりました。また、評価表の作成は初めての作業で、正解がわからず手探りが続きました。でき上がったフォーマットも完璧であるとは限らないので、今後も手を入れていく必要があると考えています。

評価表の導入トライアルに関わったことで、自分の中に当事者意識が生まれたと実感しています。検討段階から工程のことをより現実的・具体的に想定し、安全に配慮した製造処方を作らなければならないと、今まで以上に思いを強くしています。2回目のトライアルには同じ部署の他のメンバーが参加していますが、活動を通じた経験によってより高いレベルで安全に関する視野を持つメンバーが増えると良いと思います。

開発部門は最初に品目に関わり、お客様のニーズを深く知っている立場でもあるため、これからも製造部門が準備しやすいように情報を共有したり、事前の声かけをするなどによって、安全かつ高品質な量産体制へとつなげていきたいと考えています。

千葉工場 千葉製造部 千葉生産7課 主任
七呂 佳信
今回のトライアルで、今までは直接話をする機会が少なかったメンバーが一堂に会して危険源について検討する機会を得たことは、大きな収穫となりました。私は以前、テーマとした品目の類似品の生産に携わっていたので、どこに注目すべきかの判断がしやすかったこと、また上長と細かく相談し「経験則で進めても大丈夫か」を確認できたことで、スムーズに活動を進めることができたと感じています。また、机上の議論にとどまらず、実際の現場で生産に使用する設備の確認を行い、自分たちが気づかない点を環境安全部から指摘してもらうことができたのも良かったです。

従来の業務では、担当者ベースで相談して、過去の似たやり方に合わせて生産を進め、課題が発生した場合は上長に相談するという方法をとっていました。少量多品種とはいえ似たような製品も多いため、今回の評価表の取り組みが進んで現場で活用されるようになれば、安全な生産を実現するためのパターンを作れるようになるのではないかと感じています。また、自分たちのやっていることを測定・評価して記録に残すということも、将来に向けて重要な取り組みになると思います。

今後も開発部門や環境安全部に設備要求の判断基準などの情報をもっと共有し、関係各部門が協力して危険源を取り除き、より安全な操業の実現に結びつけていきたいと思います。

From Supervisor

感光材研究所 感光材研究開発部 課長
大澤 陽介
これまでは開発部門が上位になりがちで、生産現場からの発信が少ないと感じていたため、今回のように相談して、ともに仕組みを構築した経験は、意識向上につながったと感じます。今は特定の品目のみで評価表を導入していますが、今後は全社的なシステムとしてすべての製品に反映できるようになればと思います。

今川さんが、自分のこれまでの経験と想像力を働かせて評価表のフォーマット作りに尽力してくれた姿を非常に頼もしく感じていました。これからも幅広い視点で、他部署とコミュニケーションを図りながら仕事に取り組んでほしいと思います。

千葉工場 千葉製造部 千葉生産7課 課長
岡田 誠一
今回の活動で他部署と連携し、生産現場を多角的な視点で見てもらうことで、普段の業務では気づかないような不安全な箇所が明らかになり、それが現場の安心感にもつながったと感じています。今後は、生産部門からも積極的に意見や情報を提案・発信し、危険源の撲滅につなげられればと思います。

七呂さんは経験豊富で、どっしり構えてリーダーシップを発揮してくれるタイプです。皆でやっていこうという意識も高いので、今後は若手にも仕事を任せて経験を積ませ、組織全体の意識やスキルの向上を図っていってほしいと思います。