地球環境への対応

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環境画像

 経営理念の礎である化学技術を「人類文明の発展」と「地球環境保全」の両立に活かすことを企業の基本的責任と考えています。転換期を迎え、テクノロジーと地球環境の調和を求められる今、エネルギーの省力化やAI の進化を支える次世代半導体などの社会基盤分野において、当社が提供する材料の信頼性を高めることで、持続可能な社会と産業を支える技術の発展に寄与し続けます。また、高純度溶剤の蒸留・リサイクルや化学品物流の効率化による資源循環と温室効果ガス削減、省エネルギー施策や再生可能エネルギーの活用によって生産活動の環境負荷を抑制し、バリューチェーン全体の最適化にも注力しています。これらの取り組みを着実に積み重ね、地球規模での資源循環と脱炭素化に貢献することで、環境と成長が調和する持続可能な社会の実現を目指します。

環境方針

目標

 環境保全と安全操業を経営の重要課題と位置付け、各事業所は内に向かっては「社員の安全と健康」を、外に向かっては「地域環境の保全」を念頭に企業活動を推進します。

法の遵守

 環境保全の諸法令を遵守し、地域の住民の声にも耳を傾けるように全従業員に徹底します。

取り組み体制

 当社は、社長を最高責任者とする環境管理体制を構築しており、社長を委員長に、事業部長、各事業所長で構成する「環境安全委員会」を設置しています。環境安全委員会は年1回開催し、脱炭素・省エネ、廃棄物・リサイクルをはじめとする環境課題について、取り組みの進捗確認、社内外からの要望の整理、脱炭素・省エネの前年度目標の実績確認、それを踏まえた年次目標を策定しています。 また各事業所で環境安全関連を専門に扱う組織を編成するほか、3ヶ月毎のリスク管理委員会では活動状況の進捗を確認し、リスクの分析・評価を実施しています。

環境管理体制

ISO14001認証の状況

 当社の生産拠点および油槽所ではISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築しており、2025年9月末時点で5つの拠点のうち、高浜油槽所を除く4拠点で認証を取得しています。(拠点カバー率:80%)

環境関連法令の遵守状況

 環境関連の法令は、年々厳格化されていますが、タイムリーに改正情報を把握し、それらへの対応を社内で徹底しています。2024年度は、重大な環境関連法規制等の違反はありませんでした。今後も、法令遵守と社会・地域との信頼関係の維持に努めていきます。

気候変動への対応

 当社はCO₂などの気候変動を引き起こす温室効果ガス(以下、GHG)排出の削減は、企業として取り組むべき重要課題と認識しています。2024年度よりScope3も算出し、サプライチェーン全体で排出されるGHGを把握・分析しており、今後の削減に向けた施策につなげていく予定です。

目標と実績

 当社は、環境に関する中長期目標を下記の通り、設定しています。

目標
・2030年度までにScope1,2を32%削減(2013年度比)
・2050年度までにカーボンニュートラル
エネルギー使用を原単位で前年比1%削減

 2024年度のCO₂排出量は54.3t-CO₂e、エネルギー消費原単位(生産あたりのエネルギー使用量割合)は前年度比1.8%減となりました。CO₂排出量は実績生産量の増加に起因するもので、今後も削減に取り組んでいきます。
※ CO₂e:二酸化炭素(CO₂)以外の温室効果ガスも含めて、地球温暖化への影響をCO₂の量に換算した値

環境管理体制

GHG排出量削減のための取り組み

 全産業において、化学産業は生産工程において、加熱・冷却の熱エネルギーを多く使用するため、GHG排出量が多い産業の一つです。当社はGHG排出量削減に向けて、さまざまな取り組みを 推進しています。そのため当社はGHG排出量削減に向けて、さまざまな取り組みを推進しています。

エネルギー消費原単位(前年度比)の推移

製造工程や設備のエネルギー効率の管理・見直し

 当社は、生産量当たりのエネルギー消費量を定量的に把握のうえ、製造工程や設備のエネルギー効率を見直し、その改善状況を月次、四半期、半期、年次で確認しています。それら結果に基づき、中長期の計画を見直すというPDCAを繰り返し、エネルギー消費の最適化を目指しています。

省エネルギーおよびエネルギー転換の取り組み

 当社は、生産プロセスの省エネ目標設定・実行を目的に、エネルギー使用量管理プロジェクトを展開しています。本プロジェクトでは、エネルギー消費量の見える化と将来予測が可能なモデルを検討しています。
 その他、エネルギー供給システムの見直し、生産プロセスの改善、非化石電力導入、省エネ設備の導入、重油燃焼ボイラーと比較してGHG排出量が少ないLNGボイラー の活用など、さまざま施策を推進しています。
 今後、エネルギー利用効率の高い機器・技術の導入も検討しており、これらの施策でも目標達成に満たない場合は、カーボンクレジットの購入も視野に入れています。

グリーン電力化の推進

 当社のGHG排出量はその約40%が電力に起因することから、グリーン電力化の計画を立案し、計画に沿ってグリーン電力化を進めています。淡路工場では、2022年度より他の工場より先駆けてグリーン電力への切替を開始しており、2023年度には30%から50%まで引き上げました。2024年度における全社のエネルギー総消費量に占める再生可能エネルギー消費量の比率は8.19%です。
 今後、他事業所においても、グリーン電力への切り替えを進めていく計画です。

消費エネルギーの内訳

サプライチェーン全体におけるGHG排出量削減

 当社は、2024年度にScope3の集計を開始しました。2024年度のScope3排出量は250千t-CO₂eで、そのうちカテゴリ1および2が全体の約60%を占めています。

Scope3排出量

カーボンフットプリントの算定

 製品のGHG排出量の定量化に向けて、カーボンフットプリントの算定を開始しました。当社製品の原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルに至るまでの GHGの排出量を算定しています。
 算定結果は、GHG排出量削減に向けた対策に活かすとともに、取引先の皆様とも共有し、サプライチェーン全体での削減に取り組んでいきます。

廃棄物の削減

 当社は、70年以上培った分離精製技術を活かし、社内で発生した廃棄物や使用済みの溶剤の再資源化に取り組んでいます。社内で発生した廃棄物のうち、およそ80%を社内にて減量化や再資源化等により削減しています。

廃棄物の再資源化のフロー(2024年度)

再資源化の取り組み

 当社は、工場での使用済み溶剤を蒸留精製し、品質を管理した上で再利用する取り組みを行っています。この取り組みは、高純度化技術を要するものであり、当社の高い技術や設備が整って実現するものです。
 また、生産の過程で発生した副正油(廃油)を燃料として利用する取り組みも推進しています。
 今後、回収装置の改善、プロセスの改良、分別化などにより、更なる再利用量の向上、廃棄物量削減に努め、生産過程からの排出物のリサイクル化を強化していきます。

廃棄物発生量および再資源化量の実績

溶剤のリサイクル事業

 当社の化成品事業部(市川、淡路工場)では、当社技術力を活かし、溶剤のリサイクル事業を展開しています。2024年度のリサイクル量は2.99千tでした。リサイクル 事業を通じて、循環型社会に貢献していきます。

リサイクル量

環境負荷低減の取り組み

大気汚染物質の削減

 当社の各事業所では、大気汚染物質の排出を抑制するよう、定期的に排出ガスの分析を行い、環境基準内であることを確認しています。近年の傾向として、窒素酸化物(NOx)・ばいじんについては微増、硫黄酸化物(SOx)については減少しており、更に環境負荷の少ないボイラーの導入などを検討しています。

大気汚染物質排出量

水管理および水質汚染の防止

 当社では、各工場において水使用量の削減に努めるとともに、製造⼯程で生じる排⽔を排水処理場で環境負荷が下がるまで浄化し、排水基準値以下の水質で水域へ放流しています。化学的酸素要求量計(COD計)、全有機体炭素計(TOC計)、ガスクロマトグラフ質量分析計などで管理を行い、環境負荷低減に努めていきます。

  • 水使用量
  • COD負荷量

PRTR制度対象物質の排出量削減施策

 化学物質排出把握管理促進法(PRTR制度)に則り、指定化学物質の大気排出量および移動量の届出を行っています。この制度は、指定化学物質による環境影響低減が目的 であり、当社でも指定物質の取扱い・管理強化・排出量の削減を推進しています。

大気汚染物質排出量

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