トップメッセージ

次の時代を自分たちの手で創っていく意志のもと、 素材のイノベーションで社会に貢献していきます。 代表取締役社長 木村 有仁

木村有仁社長

感染症という脅威で加速する社会の変化と私たちの存在意義

世界的な感染症拡大の影響により、私たちの社会、経済、生活が大きく様変わりしています。近年、産業界では、「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって社会課題を解決し、価値を創造する社会= Society 5.0」に向けた取り組みが進んでいますが、新型コロナウイルスの出現を機に、こうしたデジタルトランスフォーメーションの動きにも拍車がかかっています。

このような状況のなか、当社は「人類の文明の成長を支えるため、人財・創造性・科学技術を核として、事業を行い、その寄与度を高めるためにも成長する」という経営理念を体現し、スマート社会の進展に欠かせないキーマテリアルを開発し、提供しています。リモートワークが普及し、サイバー空間で人と人が触れ合う機会が急激に増えていますが、これらのニーズを、現在の社会のIT インフラやデバイスがすべて満たすことができているかというと、まだまだ多くの課題を抱えています。情報のスピードと量が爆発的に大きくなる一方で、そのデータ処理能力や記憶容量は追いついていないのが実情です。誰もが想像する、サイバー空間と現実が融合する未来の実現には、基礎技術は出現したものの、これから幾多のイノベーションが必要でしょう。そして、現代のイノベーションの多くは素材の進化に支えられており、更なる進化が大いに期待されています。当社は、創業以来の高純度化技術や世界屈指の感光材の開発で磨き上げてきた研究開発力と高い技術を持ち、社会に必要とされ、他社では作ることができないものを作ることを存在意義とする会社です。今こそ、その本分を発揮して、より幸せで便利な社会の創造に貢献すべき時だと認識しています。

近年、ESG 投資などの機運が高まり、企業に対してサステナビリティ経営やSDGs への貢献を求める声が高まっています。しかし元来、会社とは、金融や投資家の視線を意識して自らの社会的責任を重視するのではなく、志を共にする人が集まり、社会的な夢や希望の実現を通して社会に貢献し、地球との調和を具現化する存在のはずであり、その原理から逸れれば衰退する運命にあります。

そして、仕事とは、社員自身が社会に役立つ製品やサービスを生み出し、お客様に評価いただき、対価を得、仲間と喜びを分かち合い、生きがいを見いだす場でもあります。とくに、私たち技術者にとっての喜びとは非常に明確で、まだ世にないものを創り出し、その真価を世に問い、たくさんの人にご利用いただくことに他なりません。もちろん、人にできないことを成し遂げるのは簡単ではありませんが、社員が前人未踏の領域に挑戦できる職場環境や、社外の知見との連携の場をつくり、その挑戦を助けることが経営を担う私たちの役目です。社員が一丸となって、より豊かな社会の未来を描き実現する、そんな会社でありたいと思っています。

社会課題を当社の課題と捉え、環境保全や働き方改革、ダイバーシティを推進

グローバルニッチトップメーカーとして、国際社会や地球環境が抱える課題は当社の課題と捉え、SDGs のターゲットを意識した体制づくりや施策に取り組んでいます。環境の分野では、65 年以上培ってきた液体化学品の蒸留精製技術を活かし、溶剤リサイクル事業に取り組んでいます。ここ数年、世界各地の環境規制は厳しくなる傾向にあり、生産部門だけでなく、研究開発部門でも廃液処理やリサイクルなどの技術開発をこれまで以上に加速しています。また、安全操業を最優先し、従業員、協力会社社員、地域住民など、関係者の安心できる操業環境を確保するため、環境保全と安全操業を並行して推進する具体的な取り組みも強化しています。

一方、社員の働き方に対する取り組みも進めています。2020 年はリモートワークなど、多様な働き方の導入を行ってきました。これらは感染症対策の一環で始まったことですが、社員一人ひとりにとっては「働くことの本質への回帰」につながったのではないかと感じています。在宅ワークによる家事と仕事の両立や積極的な健康管理は、社会を支えるワーク・ライフ・バランスに直結することです。また、遠隔でもクリエイティブなミーティングができるように工夫していくことで会議の生産性にも良い効果が出ています。

ダイバーシティや人権の観点からも、女性活躍推進や子育て世代、親の介護へのサポートなどを行っています。また、採用においては、国籍、年齢、性別による制限を設けず、公正な選考を実践し、当社にはさまざまな背景や文化をもつ社員が働いています。職場では、さまざまな知見や経歴が異なる社員同士がコミュニケーションをとる場面が多いため、個々の社員の文化的許容性を向上させることを目的とした施策に力を入れています。たとえば、相手にリスペクトを伝えつつ、異なる意見や知見を融合していくコミュニケーションのワークショップなど、実践的な研修を全社で展開しています。他にも、文化や常識の違いによって生じやすい社員間のハラスメントに関しては、人間の存在や尊厳の理解に立ち返り、「ハラスメントフリーの企業」を目指し、相談・申告窓口等の体制整備に加え、全社で研修を行っています。

SDGsとは個人、企業、社会の成長ストーリーの軌道が重なること

このたびの感染症に対する事業対応の一環で、管理職と個々の社員のone on one ミーティングの機会を増やしましたが、その時に改めて浮き彫りになったのが、対話の大切さです。事業環境や就業スタイルが大きく変わるなかで、定量的なパフォーマンスで社員を評価することが難しい状況がありますが、そこで大事なのが長期的な視点で何を成し遂げていきたいかという共通認識だと感じました。個人の成長ストーリーと会 社の成長ストーリーがつながること、そして、それが社会や世界のストーリーの軌道に乗っているか、それを見極めながら進むことが「社会に役立つ」ということであり、社員一人ひとりがSDGs にコミットすることにつながるのだと思いました。

私たちは、今、未知なる感染症の脅威に直面し、自らの生き方を改めて考えるという貴重な経験をしています。このような社会の変化に臆することなく、当社は次の時代を自分たちの手で創っていく意志を持ち、より大きな歩幅で前進していきたいと思います。